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筑後吉井の町並みの象徴「なまこ壁」のおはなし

2021/12/04

こんにちは。うきは観光みらいづくり公社 小田です。

こちらは、ご存じ、うきは市の公式キャラクター「うきぴー」ですね。

でも、今回は、うきぴーの話ではありません。

うきぴーの着ている法被の下側にある模様。

吉井の白壁の町並みにある壁の模様を模したものです。このダイヤ型の模様の壁をなまこ壁といいます。

今回は吉井の町並みの象徴「なまこ壁」について少し掘り下げたいと思います。

 

なまこ壁と書きましたが、海鼠壁とも書きます。由来は何でしょう?

白く盛り上がっていて、斜めに交差している部分があるものに似ているからです。

海に住んでいる「なまこ」が由来です。「生子壁」と書くこともあります。

 

白壁通りなどの重厚な町家の壁に施されています。

外壁の下の部分、上の写真の「なまこ壁」が施されている部分は「腰壁」(こしかべ)といって、伝統的な日本家屋であれば、同じ位置に木製の縦板などが施されることが多い場所です。外壁の地面に近い部分は汚れやすく、損傷しやすい部分となり、それを保護する、目立たなくするのが腰壁の大きな役割です。

なまこ壁は腰壁の一種ということになります。

 

なまこ壁の種類

なまこ壁は日本伝統の外壁仕上げの様式の一つです。四角い瓦を並べて打ち付け、その目地に漆喰を塗ったものです。

吉井で見られる伝統的な貼り方は「四半貼り」というもので四角いタイルをダイヤ型に斜めに打ち付け、貼り付けていくものです。

 

全国的に見るとこのほかにも様々な貼り方があります。

白壁やなまこ壁の機能はというと、前回、吉井の町並みのおはなしの中で書きましたが、3度の大火事の経験から「燃えない」壁を施したということでしたね。

なまこ壁は瓦と漆喰でできていますので燃えません。また瓦は屋根にも使われるように台風のような風雨にも長期にわたって耐久性を発揮します。

なまこ壁のしくみ

では四角い瓦を並べてタイルのように、その目地に漆喰を埋めるだけではダメなのでしょうか。

なまこ壁に使われる四角い瓦はタイルとは異なり、重さがありますので四隅は専用の釘で土壁に打ち付け固定されています。ただ、通常見かけるタイルのように目地を漆喰で埋めるだけでは、風雨にさらされると目地から雨水が瓦の裏側に回り、土壁との剥離を早めてしまうそうです。

そこで、なまこのように漆喰をかまぼこ型に盛り、四半貼りにすることによって、漆喰が吸った雨水を効率よく地面に流す役目があるそうです。

 

もうひとつ大きな役割として四角い瓦に漆喰をたっぷり塗ることによってがっつり壁を固定できるということがあります。

また、平瓦を固定する釘を漆喰で覆うことによって、風雨による錆から守る役割なども考えられます。

 

なまこ壁とよく似た例(形ではなく仕組み)として「沖縄の赤瓦屋根」があります。瓦の隙間を漆喰でがっつりと固定し、台風の多い風土にも耐えうる屋根瓦をつくりだしています。漆喰が吸った雨水も効率よく下へ流れる形になっています。

 

まちなかに見る「なまこ壁デザイン」

なまこ壁デザインは吉井の町並みの象徴となっています。

そのデザインは吉井の町並みのいろいろなところで見ることができます。

観光案内看板をはじめ、駐車場の壁、伝統的なものではない建物などにも多く使用されています。

なまこ壁は筑後吉井の町並みの象徴となっています。現代になって新しくつくられた塀や看板など、いろいろありますね。みなさんも町並みの中でいろいろと探してみてください。

 

なまこ壁の構成要素「漆喰」とは

なまこ壁のお話をするときに必ず出てくるものとして「漆喰」(しっくい)があります。

なまこ壁を形成する平瓦を固定するだけでなく、白壁の町並みの「白い壁」をつくりだしているものです。

漆喰は石灰(せっかい)がなまったものと言われています。

漆喰は世界中で使われており、古代エジプトの壁画、日本では高松塚古墳の壁画も漆喰でできています。

ウィキペディア「漆喰」(抜粋)によると

日本の漆喰は消石灰を主成分に、骨材、すさ(麻)、海藻のりなどの有機物を混ぜて練り上げたものである。

風雨に弱い土壁そのままに比べて防水性を与えることが出来るほか、不燃素材であるため外部保護材料として、古くから城郭や寺社、商家、民家、土蔵など、木や土で造られた内外壁の上塗り材としても用いられてきた建築素材である。瓦止めの機能のほか、壁に使用される場合には、通常で3 – 5ミリ程度の厚さが要求されている。

主成分の水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収しながら硬化(炭酸化)する。施工後の水分乾燥以降において長い年月をかけて硬化していく素材でもある。炭酸カルシウムは水に不溶であるため、漆喰の保存性は高い。

漆喰の状態が良ければ何年経過しても白いままです。人工的な塗料や現在の住宅の外壁はどうしても紫外線や風雨による退色・腐食が避けられません。その点、漆喰は紫外線や風雨による退色・腐食がほとんどありません。(らしいです。)

吉井の町並みが永年白い壁でありつづけるのは漆喰のおかげなんですね。

まとめ

・なまこ壁の由来は海にいる「なまこ」。

・なまこ壁は腰壁の一種。

・なまこ壁は漆喰の白壁とともに永年、町並みを守ってきた。

・吉井の町並みの象徴となっており、いろんなところに「なまこ壁デザイン」を見ることができる。

今回は吉井の町並みの象徴である「なまこ壁」について少しだけ掘り下げました。

ただの飾りではなく、しっかりと町並みを守る役割を担ってきたことを知っていただければ幸いです。

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