「釣り談義で盛り上がり、お客さんの美味しいという笑顔が一番の宝物」と、釣りを愛してやまない大将が営む店「磯吉」には、美味酒肴を味わおうと連日多くの客人が暖簾をくぐる。

釣り好きによる、魚好きのための海鮮居酒屋と言っても決して過言ではない店だ。

それもそのはず。
店休日ともなれば、クエやヒラマサ、ブリ、ヒラメなどを釣り上げるため、平戸、壱岐、五島、玄海などへ出向くという大将。
釣れた魚は店で提供されるとあって、翌日以降のメニューに期待が高まるというわけ。　　　

ならば「磯吉」へ来たら、まずは「本日のおすすめ」をチェックしよう。
刺身や焼き物、煮付けなどが目白押しで、呼子のイカや活魚が直送される月曜・金曜も狙い目。
店の生け簀で泳いでいる姿を見れば、注文せずにはいられないはずだ。

壁に掲げられている魚拓が物語っているとおり「磯吉」といえば、幻の高級魚と言われているクエを味わえると定評。
店では一本釣り10kg以上の天然クエのみを使用し、“クエを捌いて約30年”の大将が、神経〆や血抜きを行い、豪快かつ丁寧に仕立てるという。

コラーゲンをたっぷりとたたえ、脂がのったクエの骨身をじっくり煮込んで旨みを抽出。
さらにカツオ、さば、トビウオ、昆布などを投入。
コクと深みを重ね合わせた上質な出汁で味わうクエ鍋は、今や店の横綱メニューになっているほど。

なんと取材時は運良く、天然クエ刺しが「本日のおすすめ」に。
ほんのり桜色をした弾力のある身は、噛めば噛むほど豊満な旨みが増してくる味。これが旨いっ！

魚によっては熟成・エイジング保存し、旨みがしっかりと引き出されたタイミングで提供するそう。

“きょうよりあしたがうまい魚・魚仕立屋・津本式”として業界であまねく知られている魚のプロから仕入れることもあるという。

「たとえ海のない町でも、旨みのある美味しい魚を提供したい」と話す大将からは、魚愛がにじみ出ている。

鮮魚メニューの他にも、揚げ物、串焼き、鉄板、一品料理、天ぷら、〆料理などバラエティーに富んだ品書きの数々。ドリンクメニューもじつに多彩。

“美味しくて笑顔がこぼれる空間”づくりに研鑽している店には、たくさんの笑顔が溢れている。

舌鼓を打ちながら、美酒と共に酔いしれたい、そんな海鮮居酒屋だ。