「生きた土から生まれてくるものを食べて欲しい」

野草ベーグルと摘み草料理の店「Plantago（プランタゴ）」では、豊かな自然で育った野草をはじめ、長年信頼を寄せる生産者が育てた食材で作る料理をじっくりと慈しみながらいただける。

店名にもなっている「プランタゴ」は、日本各地に自生している「オオバコ」のこと。
踏みつけに強く、その生命力の強さから古来の生薬として活用されてきた。

そんなオオバコの力強さに惹かれた、店主であり料理家のゴトウタカコさんとキヨさんが営むお店では、たとえ旬の食材であっても、農薬や化学肥料などが施されたものは一切使わない。

「体をつかさどるものは食べ物だから、口に入れるものは大切。価格が安い高いでは選びません。実際に食べてみて“美味しい”と思えるものだけを使って料理していますよ」とタカコさん。

店の周辺には野草が多く自生し、摘み草の宝庫だ。
自然の恵みを一番身近に味わえる、まさに“足元のお宝”。

庭にはツユクサ、スベリヒユ、ユキノシタ、カラムシ、葛、オオバコなど野草がそこかしこに。

「あ、これいいな」と思えば、調理間際に摘み取るのだ。

「パチパチパチッ」と油のはねる音が心地よく聞こえてくる。
振り向けばオープンキッチンでタカコさんが摘みたての野草をフリットしている。

聞けば、どの食材も決まったレシピはないそう。
味わいを支えるため、昆布出汁をベースに、その日の野菜や摘み取ったばかりの野草に応じてさまざまなアレンジを加えていく。

皮も種も余すところなく使い、50度洗い・低温乾燥・低温蒸しといった素材の滋味を活かす手法で丁寧な手仕事を加えていくのだ。

優しい寛ぎに満ちた店内で供されたのは「おまかせコース」。

土鍋で焼いたピザはふっくらと、メナモミのベーグルはもっちりと♪
濃厚なかぼちゃスープに、甘酒と有機甜菜糖でふくよかな甘みをプラスしたオオバコ入りの卵焼き。　　　　　
そして低温蒸しをして素揚げをした流川レンコン、野草のフリットなど……。

力強い生命力がみなぎる食材は、低温調理によって驚くほど風味をたたえ、どれも味が濃く、自然のまま“素”の食材がこんなに美味しいものかと開眼させられる味。

タカコさんの腕に掛かれば、摘み草がご馳走になる。

メニューにも登場する野菜、野草、果実のベーグルは、店頭販売のほか、発送も可能。
農薬・化学肥料不使用の国産小麦粉、有機甜菜糖、コトコトとゆっくり時間をかけて作る釜炊きの塩を使い、キヨさんが一つひとつ手ごねで手づくりをしている。

「食の大切さとは？ 食とは何か？」と、あらためて考えるきっかけを与えてくれる「プランタゴ」。
これからどんな摘み草料理やベーグルが登場するのか、楽しみは尽きませんね。

生命力みなぎる野草ベーグルや摘み草料理、素材の力が宿る一品を、うきはの自然とともに味わってみてはいかがでしょう。

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